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樹齢100年のマンゴーが倒れた日 ダバオ事故が示す老木管理の盲点

樹齢100年のマンゴーが倒れた日 ダバオ事故が示す老木管理の盲点のニュース解説イメージ

本ページは公開情報を整理した業界コラムであり、特定の事業者・機材・資格講座の推奨ではありません。

ニュースの概要

フィリピン南部のダバオ市で、強い雨と風のなか、樹齢約100年とされるマンゴーの木が住宅の近くで倒れた。この事故で、警備員と配達員の男性2人が亡くなった。警察の説明では、1人は宿舎のそばに倒れた2本の木の下敷きになり、もう1人は住宅の中で倒木に巻き込まれたという。現場には救助隊や地域の対応部隊が入り、捜索と救出にあたった。当局は住民に対し、悪天候のときは安全な場所へ移るよう呼びかけている。古い木は地域の景観や文化を支える存在である一方、暮らしの真横にあれば命に関わる危険にもなり得る。今回の事故は、その二面性を改めて突きつけた。

引用元: フィリピン・ダバオ市で樹齢約100年のマンゴー樹が倒れ、2人死亡(Manila Bulletin)

分析・見解

100年生きた木でも、嵐の一撃には耐えられない

マンゴーは熱帯の身近な果樹で、大木になると高さ20メートルほどに育つ。枝葉が大きく広がるため、横からの風を帆のように受ける。根は深く張るが、水を含んだ土が緩むと、木の重さを支えきれなくなる。雨と風が同時に来る場面は、倒木にとって最も条件が悪い。

また、樹齢が長いことと、丈夫なことは別の話である。幹の内部が腐る、根が少しずつ傷むといった劣化は、外から見えにくい。葉が青々としていても、中が空洞になっている木は珍しくない。見た目の立派さが、かえって安心感を生んでしまう点が怖いところだ。

今回の被害が示す、建物と木の距離の問題

報道によれば、犠牲になったのは宿舎の脇にいた人と、住宅の中にいた人である。屋外に出ていたわけではなく、屋根の下にいても被害を受けた。つまり、建物の中なら安全という前提が崩れたことになる。

ここで重要なのは、木が倒れたときに届く範囲である。一般に、危険が及ぶ目安は木の高さと同じ距離とされる。高さ20メートルの木なら、半径20メートル以内の建物と人が対象になる。宿舎、守衛所、配送の待機場所など、人が長く滞在する施設ほど、この距離の確認が欠かせない。

さらに、警備員や配達員は、天候が荒れても持ち場を離れにくい職種である。仕事の都合で危険な場所に留まらざるを得ない人ほど被害を受けやすい。個人の注意だけでは防げず、仕組みで守る必要がある。

日本の街路樹や社寺林にも通じる、老木の二面性

日本でも似た構図がある。2018年の台風21号では、関西を中心に多数の街路樹や社寺の大木が倒れ、停電や道路の寸断が相次いだ。大阪府や京都府では、倒木で通行が止まり、復旧に長い時間がかかった。老木は地域の誇りであり、切るという判断は簡単ではない。

そのため、多くの自治体は伐採よりも診断を重視するようになった。木づちで幹を叩いて音を聞く、専用の機器で内部の空洞を調べるといった方法である。結果に応じて、枝を減らす、支柱を立てる、立入りを制限するなど、段階的に手を打つ。残すか切るかの二択にしないことが、文化的価値と安全を両立させる鍵になる。

気候が荒れるほど、点検は年一回では足りなくなる

フィリピンは年間を通じて台風や集中豪雨を受けやすい地域だが、ダバオは台風の通り道から外れることが多く、強風への備えが相対的に薄かったとされる。そうした土地で突然強い風が吹けば、想定外の力が木にかかる。

気象が荒くなる傾向のなかでは、年一回の目視点検では間に合わない。大雨や強風の直後に臨時で確認する、危険度の高い木だけ頻度を上げるなど、メリハリのある運用が現実的である。今回の事故は、老木をただ守る対象と見るのではなく、管理が必要な設備として扱う発想への転換を促している。

ビジネスへの影響

敷地内の大木は、まず一覧にして危険度で並べる

自社の敷地や管理する施設に大木があるなら、本数、高さ、建物までの距離、樹齢を一覧にすることから始めたい。専門家による診断は費用がかかるため、全部を一度にやる必要はない。建物や駐車場、休憩場所に近い木から優先すれば、予算を抑えながら効果を出せる。

診断の費用は一本あたり数万円程度が目安で、倒木で人命や設備が失われたときの損害や賠償に比べればはるかに小さい。保険の補償範囲に倒木が含まれているかも、この機会に契約書で確認しておくとよい。

悪天候時の行動基準を、現場任せにしない

警備、配送、屋外作業など、天候が悪くても動く職種には、会社側で明確な基準を決めておく必要がある。例えば、強風や大雨の警報が出たら大木の近くでの待機を禁止する、代わりの待機場所を決めておく、といった内容である。

現場の判断に任せると、責任感の強い人ほど持ち場に残ってしまう。基準をあらかじめ文書にして、中止や退避の権限を現場に与えることが、安全配慮義務を果たすうえでも有効である。

海外拠点や委託先にも同じ視点で点検を広げる

東南アジアに拠点や委託先を持つ企業は、現地の施設環境も確認したい。宿舎や倉庫のそばに大木がないか、非常時の連絡手段は機能するかを、定期の訪問時に見る項目へ加える。小さな追加であっても、事故の予防には大きく効く。

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