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樹木診断・ハザード評価はどのような仕事か
樹木診断・ハザード評価(ツリーリスクアセスメント)は、公園樹木や街路樹の倒伏・落枝を未然に防ぐことを主目的に、樹木の状態(腐朽・キノコの有無・樹勢など)と生育環境(土壌・植栽地形状など)を診断し、健全性を判定する仕事です。診断結果はカルテとして記録され、危険木の処置を適切に実行したり、データベース化して管理指針の作成に役立てたりする動きが公的な資料でも確認できます(環境設計株式会社の事業紹介)。
診断は大きく「外観診断」と「機器診断」に分かれます。外観診断は葉の色や量、外傷、病害虫、キノコの発生など外から観察するもので、打診用の木槌や鋼棒で幹や根の状態を確かめる作業も含まれます。機器診断は幹の内部状態を確かめるもので、細い錐の貫入抵抗で腐朽を調べるレジ(貫入抵抗測定器)、幹の円周にセンサーを上げ振動の伝達時間で断面を写す音波トモグラフィ(アーボソニック3Dやピカス)が代表例です。トシ・ランドスケープは、機器診断が「見た目では葉も茂り元気そうに見えても、根や幹の内部が悪くなっている樹木」を見わたす手段だと説明しています。
診断の担い手については、日本樹木医会が認定する「樹木医」や、街路樹・都市樹木診断協会が関与する「街路樹・都市樹木診断士」を中心に、民間の資格を持つ専門家で組織を構成している事業者が多いのですが、事業者ごとに専門家の在籍数と機器の保有状況は大きく異なります。同じ「樹木診断」と表現される依頼でも、外観のみか、機器診断までか、台帳整備や管理指針策定を含むかで、仕事の中身が大きく変わります。つまり比較の切り口として、事実項目で運営会社・本社・診断の対象領域・診断方式・実績を並べることは、読者にとって大きな手がかりになります。
【比較表】樹木診断・ハザード評価事業者の比較
次の表は、都市の樹木の診断・ハザード評価を事業として公表している事業者を、公式サイトの掲載内容を確認した事実項目で並べたものです。対象領域は各社の公式サイト上の記述に基づきます。主観評価や順位は設けていません。
| プレイヤー | 本社 | 対象領域(公表内容) | 診断方式の公表有無 | 公表実績の有無 |
|---|---|---|---|---|
| 株式会社トシ・ランドスケープ | 東京都渋谷区恵比寿 | 街路樹・マンション等の植栽。樹木医診断は全国対応と公表 | 公表あり。外観診断に、レジ3台・アーボソニック3D・ピカス(音波・電気抵抗トモグラフィ)を保有 | 公表あり。東京都23区街路樹診断・名古屋市の樹木診断・毎木調査、高所ロープワークでの診断実績を記載 |
| 環境設計株式会社 | 大阪府大阪市中央区久太郎町 | 公園樹木・街路樹(自治体・公共向け中心。管理指針策定を含む) | 公表あり。レジストグラフ使用の言及と、診断結果のカルテ化・データベース化を紹介 | 公表あり。吹田市の樹木健全度緊急調査(約20,000本)や豊中市の街路樹予備調査(13,431本)等を年度別に記載 |
| 株式会社牧田樹芸 | 東京都三鷹市新川 | 街路樹(国道・都道・市区道・公園)と樹木診断一般 | 公表あり。外観診断・機器診断・フォローアップ診断の各ページで構成 | 公表あり。街路樹診断実績10年以上・診断本数10,000本以上を公表 |
| 環境計測株式会社 | 京都府京都市伏見区竹田北三ツ杭町 | 街路樹(樹木医による診断と台帳作成) | 公表あり。樹木医による街路樹診断、樹種同定、胸高直径・樹高計測、街路樹台帳作成を記載 | 公式サイト上の実績数値の公表は確認できず「公式サイト参照」 |
| 株式会社エコル | 東京都港区南麻布 | 都市の樹木全般(基礎調査・危険度診断・保全調査・機能性評価) | 公表あり。経験豊富な樹木医による危険度評価の枠組みを公表 | 公表あり。街路樹診断委託、国指定天然記念物の樹形3Dスキャン等を記載 |
| 株式会社ウリプカス | 東京都世田谷区八幡山 | 樹木調査・土壌調査(広域・アクセス困難地を含む) | 公表あり。ドローン+樹木医による調査、アーボソニック3Dによる精密診断の流れを公表 | 公式サイト上の実績数値の公表は確認できず「公式サイト参照」 |
2026年10月30日時点、各社公式サイト・公開資料に基づく。最新情報は各社サイトで確認してください。
表の読み方
結果の信頼性に求められるのは、評判や点数よりも、診断の構成と内容を公開し検証できるかどうかです。依頼者は、診断方式・診断機材・報告の形を持って対応する事業者を吟味し、公式サイトに記載された内容と問い合わせ時の説明とを照らすのが手順として安全です。診断機材そのものについては倒木診断AI・空洞調査のDX、資格については樹木医・アーボリストの制度と資格で整理します。
各社プロフィール
株式会社トシ・ランドスケープ(東京都渋谷区恵比寿)
都市部の植栽環境での樹木・土壌の診断・調査に特化した「ツリーリスクアセスメント部門」を設け、樹木医3名・街路樹・都市樹木診断士3名・植栽基盤診断士2名の在籍を会社概要に載せています。2026年10月現在の保有として、診断機器にレジ(IML Resi PD500)3台、アーボソニック3D 1台、ピカス(PiCUS)音波トモグラフィ1台、電気抵抗トモグラフィ1台を公開し、樹木医診断を東京都の街路樹診断等マニュアル準拠として外観診断・機器診断に整理して公表しています。実績としては東京都23区の街路樹診断や名古屋市の樹木診断、無電柱化に伴う樹木保全調査など診断まわりの実績を記載している点が特徴です。診断以外にグリーンメンテナンス部門(高木管理・特殊伐採)とランドスケープコンサルティング部門も持ち、診断結果を管理につなげる一連の流れを内製で完結させられる構造になっています。
環境設計株式会社(大阪府大阪市中央区)
公園樹木・街路樹の診断を、自治体・公共機関向けの中心業務として手がける事業者です。公式サイトの公園樹木・街路樹診断の紹介では、倒伏・落枝による事故の未然防止を主な目的として、樹木の状態と生育環境を診断し、健全性を判定する仕事だと定義し、診断結果のカルテ化とデータベース化、管理指針等の策定へのつながりを整理しています。実績には千里山団地の建替基本計画(約4,100本)、箕面公園危険木調査(約2,200本)、吹田市の樹木健全度緊急調査(約20,000本)、豊中市の街路樹予備調査(13,431本)等が年度別に並び、京都御苑の樹木診断調査(環境省京都御苑管理事務所)が3,918本と記載されています。自治体の職員向けに街路樹診断講習会の講師派遣も行っており、診断から指針策定までの業務を一気通関で担う層として読めます。
株式会社牧田樹芸(東京都三鷹市新川)
樹木医の資格を持ち、街路樹診断を専門分野の中心に置く事業者です。公式サイトでは街路樹診断の実績を10年以上、診断本数10,000本以上と公表し、その対象は国道・都道・市区道・公園に及ぶと記載されています。事業内容は「外観診断」「機器診断」「フォローアップ診断」の構成に分かれており、機器診断では高所での機器診断にも対応すると説明されています。樹木調査では、公園・街路・緑地・施設敷地の樹木を位置・樹種・幹周・樹高・樹冠・樹形・枯損状況で記録し台帳や管理計画の基礎にする仕事も公表しています。全国特化の診断だけではなく、樹木医としての保存・処置を含む提案までを伴う依頼に対応しやすい構成です。診断対象が公共の道路・公園に偏らず、個人・法人の私有樹にも展開する事業者の姿が読み取れます。
環境計測株式会社(京都府京都市伏見区)
1971年創業と自社サイトで紹介される環境計測株式会社は、環境調査や環境分析、大気・水質自動測定機器の保守といった環境分野の事業を幅広く持つ企業で、その一環として樹木医による街路樹診断を行っています。公式サイトの街路樹診断の事業紹介では、街路樹は生活に身近な植物である反面、倒木や枝の落下が重大な事故につながる可能性があるとの認識の上で、適切な管理と樹木の健康診断の必要性を説明し、樹木医による診断に加え、樹種の同定、胸高直径や樹高の計測、現況に即した街路樹台帳の作成を管理計画に生かす姿を公表しています。実績の具体的な数値の公開は確認できませんでしたが、樹種同定から台帳作成までを一つの仕事の枠組みで示す構造は、街路樹台帳の整備を中心に据える自治体側の担い手としての位置づけを示唆しています。
株式会社エコル(東京都港区南麻布)
都市の樹木を対象に、基礎調査・危険度診断・保全調査・機能性評価という枠組みで診断業務を構成する事業者です。公式サイトのサービス紹介では、樹木の位置や大きさ、種類を調べ台帳を作る基礎調査、倒木や落枝の被害を調査し危険性を評価して必要な処置を提案する危険度診断、貴重木の保全を目的とした健全度調査と土壌調査、そして緑の持つ多様な機能を評価する機能性評価を、経験豊富な樹木医が担うと説明しています。実績には街路樹診断委託や、国指定天然記念物の樹形3Dスキャン、伊豆諸島における病虫害調査、都市緑地の熱環境調査が並び、診断の枠組みが単一の評価でなく多面的である点が特徴として読めます。天然記念物の保護作業やサクラの再生計画など、都市の中でも特に保存価値が高い樹木まわりの仕事への関与が多い層です。
株式会社ウリプカス(東京都世田谷区八幡山)
ドローンによる樹木調査を事業の特徴として掲げる事業者です。公式サイトでは、ドローンを使うことで広範囲の樹木調査を短時間で行えるほか、崖地など人が行きにくい場所での調査が可能になると説明し、調査の流れとして、高解像度カメラとマルチスペクトルカメラで健康状態をランク分けし、その結果を元に樹木医が不健全な樹木を中心に調査する方式を公表しています。地上での調査では、幹や枝の腐朽、空洞や虫害、葉の生育状態を外観検査で確認し、目に見えない部分の空洞確認にアーボソニック3Dによる精密診断を行った上で報告書を作成する流れが示されています。土壌調査では植栽基盤診断士による硬度・透水調査を併設しています。実績の具体数値の公表は確認できなかったため「公式サイト参照」と扱い、成果物の型(報告書・台帳データ)から比較する読み方が有効です。