ニュースの概要
米フロリダ州ペンサコーラで、ハリケーンにより失われた約200本の樹木を取り戻すため、市民運営の非営利団体Canopy Restoration Projectが植樹ボランティアを募っている。活動は11月7日から、11月中の最初の3週末に行われる。対象は公共用地の中、または道路用地から約20フィート(=約6メートル)以内の場所である。報道では、都市の樹木には倒木や枝折れの危険があることにも触れられている。そのうえで、定期的な手入れと専門家による状態の確認が欠かせないと伝えている。木を植えるだけでなく、その後を支える仕組みも問われる取り組みである。
引用元: ハリケーンで失われた約200本の樹木をペンサコーラの市民団体が再植樹へ(Reuters)
分析・見解
植える場所を公共用地と道路沿いに絞った狙い
この活動は、どこにでも植えるわけではない。対象は公共用地と、道路から約6メートル以内に限られる。理由は二つ考えられる。一つは、街の景観や日陰の効果が最も目に見えやすいからである。もう一つは、将来の責任の所在がはっきりするからである。
私有地に植えた木が倒れれば、持ち主の問題になる。公共の場所なら、行政と団体が管理の枠組みを共有できる。ボランティア活動で見落とされがちな、植えたあとの責任をあらかじめ整理しているとも読める。
木は街の資産であり、同時に危険物にもなる
報道は、都市の樹木が倒木や枝折れの危険を抱えていることに触れている。ここは見逃せない点である。木は涼しさ、雨水の吸収、景観の向上をもたらす。一方で、強風時には電線や車、歩行者に被害を与える。
米国では、ハリケーン後に倒れた街路樹が停電の原因になる例が繰り返し報告されてきた。つまり木は、良いものでも悪いものでもない。管理されているかどうかで、価値が正反対になる。
植樹よりも難しいのは、その後の五年間である
植えた苗木が街の木陰になるまでには、十年単位の時間がかかる。とくに最初の数年は水やり、支柱の点検、雑草の除去が必要になる。ここで手入れが途切れると、せっかくの苗木が枯れる。
日本でも、記念植樹や復興植樹が数年後に枯れたまま放置される例は珍しくない。植樹当日は人が集まる。しかし二年目、三年目に水をやる人は集まりにくい。今回の取り組みが評価されるかどうかは、来年以降の活動記録で決まる。
市民団体が担うことで生まれる、見えにくい利点
行政だけで再植樹を進めると、予算の年度や入札の都合で時間がかかる。市民団体が動けば、被災直後の熱量が冷めないうちに行動できる。さらに、参加した住民は自分の植えた木に愛着を持つ。この愛着が、のちの見回りや水やりの動機になる。
私が注目するのはここである。植樹は緑を増やす行為であると同時に、街の木を見守る人を増やす行為でもある。木の本数より、見守る人の数が長期の成果を左右するだろう。
ビジネスへの影響
木の管理を点検対象に入れる企業が増える
工場、物流拠点、商業施設の敷地には、多くの樹木がある。台風や突風のあと、倒木が設備や車両を傷つける例は少なくない。敷地内の木を、建物や設備と同じように点検する体制を作る価値は高い。
具体的には、年に一度、樹木の専門家に状態を診てもらう方法がある。枯れ枝、根元の傾き、幹の空洞などを記録に残す。費用は数万円から始められる。倒木の被害額と比べれば、保険料のような感覚で扱える。
地域活動への参加を、防災と採用の両面で使う
今回のように市民団体が呼びかける植樹には、企業が社員ボランティアとして参加しやすい。半日の作業でも、地域との接点が生まれる。災害時に地元と顔の見える関係があると、情報共有や応援が早い。
参加するなら、植えた後の管理にも関わる約束を結ぶのが望ましい。年に二回の水やり当番や、状況報告を社内で共有する流れを作ると、広報用の活動で終わらない。社員の誇りにもなり、採用の場で語れる実績にもなる。
復旧活動を評価する物差しは本数ではなく生存率
自治体や企業が緑化を評価するとき、植えた本数だけを成果にしがちである。しかし本当に問うべきは、三年後に何本が生きているかである。契約や助成の条件に、生存率と点検の頻度を入れておくと、植えっぱなしを防げる。
